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2006年11月03日

昨日は景観審議会

 11月2日に文京区景観審議会が開かれました。議事は「第6回 文の京 都市景観賞 最終選考」でした。

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第6回都市景観賞 景観創造賞(左)とふるさと景観賞(右)

 まずは景観創造賞の選考、ひとつは根津の旧田嶋邸(茨城県会館)の跡地にできたうどん屋さんとその周辺、もひとつは本郷給水所公苑の対決。旧田嶋邸については、保存問題も記憶に新しいところですが、結局のところ残されたのは蔵一棟のみ。この蔵を改装したのがうどん屋さんです。茨城県会館の頃は塀が続いていただけのところが、切り開かれて風通しの良さそうな街並みができたという評価。本郷給水所公苑に対しては、整備されてから20年もたった場所なので「創造賞」の新しいイメージにはそぐわない、もともと役所の施設なのだから景観に配慮して当たり前、公苑に上がると別世界が広がるのだが道路に面するところはよい景観とは言い難い、などの厳しい意見がありました。結果は根津が受賞。

 続いて、ふるさと景観賞です。ひとつは神田川にかかる関口の駒塚橋からの眺めで、坂あり、川あり、豊かな緑あり、というとても文京区らしい景観との評価。もうひとつが文京区元町公園と旧元町小学校、一体のものとしての評価です。
 まずは、景観賞が元町公園に与えられた場合に、そのまま保存に直結するという話ではないですよね、という一連のやりとり。文京区の見解は賞の結果が都市計画審議会に直接影響を及ぼすものではないというものでした。
 ようやく本題らしきものに入るかと思いきや、元町公園はホームレスがいて怖い、小学校は廃校になってしまっているから一般には入れないようなところ、この審議会は歴史性を評価する場ではない、元町公園に景観賞を与えておきながら後日壊すようなことになっては文京区が批判を浴びることになるので良くないだろう、などなど、直球勝負で景観の良し悪しを議論しようという様子もなく話がまとめられてしまった観がありました。確かに「景観とは何か」という定義自体が難しいものであり、上記の話の内容もおそらく「景観」というものを構成する一部分なのでしょう。しかしながら「景観」そのものの本質を捉えようとした議論には思えませんでした。景観は歴史性や文化性をも含むものだという説もあるようなのですが、委員のおひとりが思い余って「歴史の話ではなく、ここは純粋に景観を評価する場である」とおっしゃったことがとても印象的でした。いったい何をもって「純粋なる景観」といえばよいのでしょうか。
 ただし、もっとも傍若無人なご意見は別にあります。文京区が歴史性の継承のために現地調査中でどこをどのように残すか(つまり部分的にしか残すつもりはないということ)を検討中と述べたのに対して、今回の創造賞のうどん屋さんのように何らかの形で残されてできたものを景観賞として表彰したい、とはさすがに言葉が過ぎてはいませんか?
 結果は、駒塚橋からの眺めが受賞。ちなみに筆者が数年前に撮った写真を載せておきます。なかなか素晴らしい眺めです。

 景観賞の3番目の活動賞は、ロードサポート播磨坂が受賞しました。

 さて、最後に田中委員より、景観条令によれば景観審議会は区長からの諮問を待つだけではなく、区長に意見をすることもできるのではないか、との提言がありました。反対意見もあるなかで、西村会長の「景観上重要だと思われるものは採りあげることはできるだろう、今回の元町公園については景観審議会が全くの蚊帳の外になってしまっては、一体何をしていたのかと言われてしまう」とのご発言で、元町公園について景観審議会で採りあげるか否かは、会長と事務局に一任されることとなりました。

 次回の景観審議会は来年の1月末~2月初に開かれる予定です。