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2006年12月06日

(社)日本建築家協会 JIA が保存活用の要望書を提出

元町公園と旧元町小学校の保存活用について JIA (日本建築家協会)が、
11月27日づけで、
煙山 力区長&成澤 廣修区議会議長 にあてて「要望書」を提出しました。

建築・ランドスケープ・まちづくりの実務分野で活躍するプロの人々からの熱い要望です。
「つくる」人たちも、大事なものは「遺すべき」だと声を次第に大きくしています
区長、議長、きちんとしたご返答をお願いいたします。
そういえば、造園学会からの要望書と質問に、まだ、お返事がないように思います。




社団法人 日本建築家協会(JIA)
関東甲信越支部 支部長  伊 平 則 夫
同 保存問題委員会 委員長  川 上 恵 一


「元町公園および旧元町小学校」の保存活用に関する要望書」


拝啓 時下ますますご清祥のこととお喜び申し上げます。
貴区におかれましては、日頃より建築文化の継承・発展に理解を示され、ご指導されていることに深く敬意を表します。又当協会の活動に格別のご理解を賜り、厚く感謝申し上げます。

 さて貴区におかれましては都市計画公園の変更により、区立元町公園の地に新たに総合体育館を建設するとともに、旧元町小学校を解体し、跡地に公園整備を計画されているとお聞きしております。
 ご高承のように、旧元町小学校(1927年竣工)と元町公園(1930年開園)は関東大震災による復興事業として、当時の東京市により建設されました。復興に当たり東京市は復興小学校117校のうち、52校に非常時の避難所として、またコミュ二ティ-センタ-として小公園を併設しましたが、元町公園はその52の公園の一つで、70年以上の時を経て今なお建設当時の姿を残すただ一つの公園であると言われております。それはまた復興小学校として建てられた旧元町小学校と一体をなし、関東大震災の復興に対する東京市の高い理想を示し続けている歴史的遺産です。
 元町公園の計画は、階段・テラス・パ-ゴラ・カスケ-ド(水階段)など敷地の高低差をたくみに活用し、また当時としてはいち早く新しい建築の思潮を取り入れた復興の気風あふれる意欲的な造形と公園の植栽は、外堀の緑地帯と一体となり文京区の誇る景観の一部となっております。現在でも区民に親しまれ、多くの人々が憩いの場として利用し、訪れる人や見る者に深く記憶として刻み続けられています。もしこれらの施設が無くなり新しい物にとって変わるとすれば、その損失は計り知れません。しかも関東大震災の教訓に学んだ、外堀通りに隣接した一時避難場所としての機能は現在でも十分な有効性を有していると考えられます。
 また、旧元町小学校も復興小学校として、震災の経験から不燃性と耐震性に優れた、当時の小学校建築としては珍しい鉄筋コンクリ-トで造られました。内部には水洗トイレなどの近代的な設備も取り入れ、新しい生活習慣を学習する施設としました。校舎のデザインは東京市が行い、構造的には戦後の高度成長期に作られた多数の校舎よりもむしろ堅固で良質であり、先人達が高い理想のもとに計画し、造り上げた建物です。しかし同校は現在統合により廃校の状態にありますが、貴区が掲げる「最先端の生涯学習都市・文京」を実現するための「文京区生涯学習推進計画」の施設として十分活用可能と推察いたします。
 以上のことから、元町公園および旧元町小学校は、関東大震災からの復興に対する東京市の高い志を示した拠点であり、貴重な歴史的、文化的遺産として、また東京の数少ない景観・緑地資産として、保存活用に格別なご配慮を賜りたくお願い申し上げます。

 なお、社団法人日本建築家協会関東甲信越支部、及び同 保存問題委員会はできる限りの協力をさせていただくことを申し添えます。


敬  具