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2006年12月24日

都市計画審議会、傍聴記録 その1

これを楽しみにしている方も多いと聞いております。
ぱぱっと傍聴記録です。正式な会議録は、後日、区から公開されますのでそちらをご覧下さい。

■平成18年度第2回 文京区都市計画審議会
定刻の2時から、文京区都市計画審議会が開催されました。
議事資料に追加あり。学術団体などからの保存要望書5件、文京区文化財保護審議会委員による連名の保存要望書、「日本の歴史公園100選」の資料、基礎調査委託の委託仕様書、元町公園の歴史性の継承について(案)。結局のところ、この追加資料の説明はなかった。

小野都市計画部参事により配布資料に基づき説明がなされる。
いずれも約40m×45m(一層分:約1,800?)の建物を中心にカスケードや壁泉を移設保存したA案とB案、同じく外堀通り側の正面階段とカスケードまでをそのまま保存したC案が示され(参考資料1)、これに基づいて9月4日に都市計画の専門家2名と造園の専門家1名に意見を聞いた旨の内容を説明する(参考資料2)。続いて同じ3案を見せて文京区文化財保護審議委員に二回に分けて意見を聞いた内容を説明(参考資料3)。
次いで「文京区元町公園現況調査報告書」(参考資料4)の概略説明。
以上の資料に基づいて庁内の検討委員会でまとめたという「元町公園の都市計画変更に伴う建築計画について」(参考資料5)を説明。正面階段とその西側部分からカスケードまでを現状保存領域:区域Aとし、正面階段の東側の部分から飾り井戸までを区域Bとして、一旦は壊すかもしれないが復元をする領域と説明した。それに併せて作成したというイメージパースを回覧。元町公園を部分的に保存する効果を高めるためにできるだけ建物を北側に寄せること、つまり公園との敷地境界ぎりぎりに配置をすること、通常は敷地内で通路をとることになるのだが今回は特例として、新設公園の一部を建築計画のオープンスペースの一部とすることができるようにする予定であることを説明。また、正面階段の東際に自動車用の出入口を設け、トンネルの高さを確保するためにその部分(区域B)の地盤面を上げてしまわなければならない、つまり現在のままの左右対称性は失われてしまうことを説明。

引き続き、添付資料はないものの、文化庁との協議内容について説明。文化庁に説明を求められたため、状況の説明に行ったとのこと。文化庁からは、元町公園は価値が高いので、保護の努力をして欲しい旨の要望があった。そしてプロポーザルの際につけるべき条件として3点、?公園の地割を配慮するよう工夫をすること、?正面の左右対称性について可能な限り配慮すること、?小学校の壁面などの保存活用を工夫すること、加えて、?事業者の選定に際しては文化財の専門家を事業者選定委員会に加えること、などの要望があった。文京区の解釈は?については、例えば北側自由広場と児童遊戯場の段差があるが、建物の内部の床で舗装を変えるなどして、その段差の位置を示す工夫をする、という何とも不思議なもの。?については、外堀通りに勾配があるので東側の地盤面が上がる可能性があるので完全な左右対称を残すことはできない、という説明にもなっていない説明。?については明快な解釈・回答は無かった。

小野参事が基調説明を以上で終わろうとしたところ、戸沼会長から元町公園が「歴史公園100選」に選ばれたことについての説明を求められる。これに応じて篠原みどり公園課長からの説明があったが、区で推薦をした新江戸川公園が選ばれなかったこと、近いうちに行われるであろう二次選定ではなんとか挽回したいということのみがよく伝わった何とも的外れで自分勝手な説明だった。


ここで2時半を過ぎ、質問の時間となる。

鹿倉委員から。11の内容について要望書を出しているが、そのなかで回答は4つしかない。きちんとした資料提供をされた上で審議としたい。神野特命担当課長の回答によれば、上に列記した追加資料が出せる限りの資料であって、プロポーザルに関わるものは公正を期すために公開できないとのこと。鹿倉委員、情報公開をかけたが、文化財保護審議会と景観審議会に諮問をしなかった理由、庁内の検討会の経緯の資料などが「不存在」扱いになっている、どういうことか。徳田企画課長の回答、事業スキームや区有地の扱いについての区の意思決定がなされていないのでそれまでは時限秘となっている。鹿倉委員、区民にきちんと説明をしないでおかしいのではないか。
ここで笠原委員、さまざまな学術団体などが保存の要望書を出しているようで、元町公園に歴史的文化的価値があることは確かであるのにこのような議論をしているのはおかしい。小野参事が答えて言うには、壊してよい、とは誰に聞いてもそうは思っていないと言うだろう、文化財の解釈と行政のまちづくりとがせめぎ合いとなる、安全性・防災性などを考慮したなかでのひとまずの結論である。これをうけて国府田委員、さまざまな残し方の意見があるなかで完全に残して欲しいという意見が多くある、区はプロポーザルにかける資料を持っているが審議会委員には公開されていない、どのようなものができるのかという情報がないので、よいか悪いかの判断ができない。小野参事、すでに結論が出ている訳ではなく、プロポーザルによりどういう形態・規模になるかが初めて示されることになる。(せめて規模を示せとの声に、参考資料5を基に)上の自由広場が2,700?あり、敷地の容積率から全体で17,000?の床面積の建物が建てられる、これを単純に割ると7階建てとなるが、現実的ではない、単純に規模と形態を決めることはできない、と回答。

梶島委員から、前回の都市計画審議会で、景観審議会と文化財保護審議会に意見を伺いたいと言った、ところが、参考資料3は文化財保護審議会の委員に聞いた意見の資料であるといいながら、発言者が明確でなく資料として不十分、発言内容と発言者が明確にわかるようにして欲しい。国府田委員の補足によれば、情報公開で調べても参考資料3については会議録が不完全で抜粋しか無い、しかも今朝になってようやく公開されたというとんでもない状況、一方で、9月4日の専門家の意見聴取のときの分はきちんと録音テープがあり議事録もしっかりしている。
徳田課長が矛先をそらす回答を行う、記録がしっかりしたものといえば、文化財保護審議委員の方々が連名で出した保存要望書について、要望書を受け取った助役が区の委員会で行った回答の記録が残っている、それによれば、文化財保護審議会の会長は現状のまま残したいという要望ではあるが、区の政策もあるだろうから考えて欲しいということであった、というもの。

鹿倉委員が改めて、諮問を行わなかった理由と景観審議会会長が景観審議会は区長から諮問をされなくても審議をして意見を述べることができると発言をしたことについての質問。小野参事、都市計画審議会に専門家がいないから意見を聞いておきたいということから始まったことでもあり、諮問を行わなかったことで結果として専門家の生の声を聞くことができたと考えている、また景観審議会から区長に意見を述べることができるというように定められている、と回答。これに対して梶島委員、さまざまな意見を聞いた事自体はよいと思うが、その内容がきちんと資料化されていないことが残念であり問題である。角野委員、それなら資料にすればよい、プロポーザルの部分は最終案に近いものが出ている、今日の結果を得てそれを盛り込むべきものでプロポーザル資料が未だないのは当然だろう。

ここで戸沼会長が少しまとめます。専門家の資料・意見はこれで十分だろうかとの疑問の声が出ている、審議のためにはプロポーザルの内容についてここでもう少し情報が欲しい。17,000?の建物が建つというイメージに対して公園に対して影が落ちるとどうか、高層棟が板状に建つ可能性があるなど。また前回の審議会では、敷地を分けてしまわないで計画をしてはどうかとの意見もあったが、なるほどそうか、と感心した。規模・形態としては区はできる限り多くの床面積を欲しいのだろう。

角野委員、前回の宿題は、公園に指一本触れてはいけないのかということに対してもう少し検討が必要だという話だったと理解している、プロポーザルの内容についてはその次の話。これに対して梶島委員は、文化財保護審議会と景観審議会の意見を聞きたいということのほかに、プロポーザル資料も近くまとまるということだったのでそれも見ておきたいと話をした、これも宿題の範囲である。
角野委員、今度は現況調査資料について、デザインは大事に残すべきだろうという印象は持ったが、個々のものをどうすれば良いかが知りたかったのにその点は相変わらず不明。

鹿倉委員、満を持して手製の紙芝居を示しつつ、17,000?の床面積に対して、総合設計をかけて容積緩和を受ければ5割増しの24,000?の建物となる。普通でも10階建て、場合によっては15階建てになる、これで地域の同意を得られるのか、高層棟に当たった風が巻き込むようなところで防災上安全だと言えるのか、日影の問題についても不明。設楽委員、選択肢が相変わらず狭いようだ、広い方向で考えたらどうかという話を前回にしたはず、プロポーザルの内容を聞きたいと思う。小野参事の回答、今の段階でこうなるという断定はできない、汐留に高層棟群ができたことで言われているように風を止めてしまうというようなことはここでは起きないと思うが、風害の起きないような対策は考えたい、日影については足下はその通りだが(とつい本音を言ってしまったことで場内の失笑を買う)、少し離れたまわりはそうではないと思っている。

大方委員、前回の話では、何が歴史性なのか、公園自体がどのようなものかということもわからない、という状態では都市計画審議会では責任を取れないという話だったと理解している、その説明を聞きたい。体育館を移転するということが区の方針なのであれば公園の全てを残すことは難しいだろう。
これに対して笠原委員の質問、体育館を移すことは区の方針なのか。突然、東村委員がいらいらした感じで、歴史性を残すのか、有効利用をどう考えるか、一歩たりとも譲らないということではなくどこでバランスをとるかという議論に入ってよいと思っている。角野委員マイペースで、この場では元町公園を旧小学校の場所に移転したいということを諮問されている、公園に手を入れてよいかということを検討すべきという宿題だった、プロポーザルによって日影や風の問題があるというのはその次の話で、保存について何ができるのかの結論をまず出すべきだ。

続いて国府田委員の質問、区はここは危ない公園だという話をするが、それは区の管理に問題があったのではないか。現況調査資料を読んでも、歴史性の継承をはっきりさせたいという意図のはずが、その点が書かれていない、このままではわからない、区はどう考えているのか。松田土木部長の回答、死角が多いということが危ないという点のひとつだが、公園の新設によって、死角を減らせると考えている、より安全になると思っている、維持管理については剪定や清掃の点でほかの公園と同等の管理をしている。神野課長、現況調査は目的にかなったものだと考えている、区域B(正面階段の東隣部分)について文化庁から配慮をして欲しいという注文があったことは考慮したい。国府田委員、同等の管理というが、近所の給水所公苑と比べると例えば剪定の回数は元町が約1/3しかないというのが実情。国府田委員の話が長くなりだしたところ、なぜかそれまで黙っていた岡崎、藤野両委員が活気づく、岡崎委員、この場は公園をどうするかという議論、使いやすい安全な公園にして欲しい。藤野委員、ホームレスもいるなどの問題を考えていく必要がある、いつでも安全であることが第一義であると思う。

角野委員、今日は相変わらずこだわっている宿題関連について、元町公園のなかに構造物がいくつもありそれぞれを残すべきかどうかを前回の宿題として聞いたつもりだった、そういうものはないのか、壁泉のアールはどうなのか、仕上げはどうなのか、匠の技はあるのか。

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さて、
角野委員の質問にはどんな答えが飛び出したのか。
この続きは、傍聴記録 その2 に続きます。
長いけど、最後までよろしくおつきあいください。