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2006年09月14日

元町公園と元町小学校の保存・活用を要望!

文京区文化財保護審議会の委員の先生方全員が連名で、9月8日に要望書をお出しになりました。文京区長に元町公園(昭和5[1930]年開園)と元町小学校(昭和2[1927]年竣工)の保存・活用を要望するものです。その中で6項目にわたり、元町公園・元町小学校が、大正12[1923]年9月1日の関東大震災直後に計画・設置された52箇所の小公園・小学校のなかで唯一保存されている「多面的価値を有する文化財として貴重」であると述べておられます。
とても重要なご意見・ご要望であり、誰にでもわかりやすく的確な文章であると思われますので、以下にその6項目を転載させていただきます。

1.52箇所は、いずれも小公園と小学校を隣接させ、地域の中心施設として東京市によって設置されたもので、往時の構成をよく保存した唯一の震災復興小公園・小学校としてわが国の戦前期に実施された優れた都市計画上の事例として、極めて貴重である。

2.元町公園(計画・設計責任者:井下清)は、とりわけ神田川を見下ろす台地の端に位置するなど地形の特性を配慮しながら、人々がこの公園から震災後の復興の様子を一望し再興の決意を新たにすることを意図した優れた設計であり、極めて貴重である。

3.元町小学校は、強固な耐震性をもった重厚な昭和初期の鉄筋コンクリート構造による学校建築として数少ない建物であり、また、表現派の影響を示すなど時代性を反映した外部意匠は建築史上、極めて貴重である。

4.上記の背景から地域の人々は震災後の復興の記憶を思い起こす場として、また文化遺産として等しく愛着を持っており、強い保存要望がよせられている。

5.(社)日本造園学会、(社)日本建築学会、(社)土木学会など、多くの関係学会から学術的価値が評価されており、多面的価値を有する文化財として極めて貴重である。

6.文化庁文化財審議会名勝部会委員から河合文化庁長官に対して元町公園の保存要望書が提出されていること、また東京都史跡等整備検討委員会報告(平成16年3月31日)において名勝指定対象とすべき公園の筆頭に挙げられていることに見られるように、元町公園の文化財としての価値は東京都や国のレベルでも高く評価されている。