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2006年08月07日

新公園がヒートアイランド緩和、はナンセンス!

「新しい公園がヒートアイランド緩和に貢献するという論理は乱暴である。」「高層建築の北側に公園をつくるというプランが、現状を改善するとは言い難い。」
これは、都市気象学の専門家J・バウミュラー博士のコメントです。

8月5日(土)、
「ヒートアイランド対策国際ワークショップ(サステナブル建築世界会議東京大会、主催:国土交通省・国際エネルギー機関)」 
http://www.iibh.org/uhi.files/uhi_index_j.htmのために来日中のユルゲン・バウミュラー博士に、元町公園の都市計画変更の問題についてコメントを求めました。

バウミュラー博士は、シュツットガルト市(ドイツ)都市環境部のディレクターで、盆地のまちシュツットガルトの都市計画に「風の道」や「グリーンルーフ」等の導入を積極的にすすめて大きな成果をあげている、理論と実践の第一人者です。
過密なスケジュールの中で面談をお願いしたので、残念ながら現地に足を運んでいただく時間がとれませんでした。そこで、Google Map(地図と衛星・航空写真)やカシミール3D(3D地図ソフト)等を駆使して元町公園の立地について検討していただくことに。

博士の専門分野に即したコメントをいただきたかったため、元町公園の歴史・文化的背景については一切解説しませんでした。
文京区の都市計画変更については、高層建築と新公園の一体整備をうたう文京区の基本方針(新しい体育館は共同事業者が建てる高層ビルの中に組み込まれること、体育館用地は現公園であること、外堀通り側は容積率500%であること、新しい公園は体育館の北側に当たる旧小学校を壊した後につくられる計画であること等々)をお話しました。

バウミュラー博士が議論の最初の段階からもっとも注目したのは、現在の元町公園の立地。つまり、元町公園が神田川沿いにひらけた唯一の(まとまった大きさの)オープンスペースであること。「この場所を巨大な建造物で塞いでしまうことは、良い選択ではありません。神田川のうえをながれる気流は、ここからまちの内側へ導かれる状態になっています。このオープンスペース(元町公園)の存在は、新鮮な空気のながれを担保する上で大変に重要です。」と述べ、「新しい公園が河川沿いに建つことになる高層建築の背後というのは、その建築によほどの(風のながれに対する)工夫がないと、良い公園にはなり得ないでしょう。」と、今後のプロポーザル・コンペの難しさを示唆するご意見。また、樹木のヒートアイランド緩和効果については、「新たに植栽される若木がそういう効果を発揮するようになるには、相当の年月が必要です。その意味から判断して、現在の成熟した緑陰が果たしている心理的かつ実質的効果と比較すると新しい公園の建設がヒートアイランドを緩和するという(文京区の)論は、まったくナンセンスです。」とコメントして下さいました。