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2007年07月16日

湯島聖堂に展示しています: 「元町公園と旧元町小学校1/200模型」

■ごあいさつ
 財団法人斯文会の方々のご高誼を賜り、14日から21日まで一週間、「元町公園と旧元町小学校1/200模型」を湯島聖堂に展示いたします。
 ご高覧の機会に恵まれましたことを心から感謝いたします。
 この模型は、今月24日(火)から江戸東京博物館で開催される「後藤新平展(生誕150年記念)‐近代日本をデザインした先駆者‐」に出品されるもので、元町公園と小学校をこよなく愛し、その存続を願う文京区民有志が制作を起案し、建築模型作家によって作成された精巧な1/200昭和初期推定復元模型です。どうぞ、お誘い合わせの上、湯島聖堂においでください。
お気軽にご覧いただけるよう、斯文会の会館入り口ホールに置かせていただいています。正面扉から入るとすぐ左手にあります。斯文会の会館へは、外堀通りからアクセスするのが便利です。御茶ノ水駅から徒歩3分、もちろん入場無料です。

■危機に瀕する震災復興小公園と小学校:湯島の文京区総合体育館の移設計画
 元町公園(昭和5年開設、本郷一丁目)は、関東大震災復興事業の一環として、東京市(当時)が設置した52か所の小公園のひとつです。一方の元町小学校(昭和2年に現在の建物竣工~平成10年閉校)は、関東大震災罹災前は基本的に木造であった小学校を一新した耐震耐火鉄筋コンクリート造の建築で、セントラルヒーティング、水洗トイレ完備を誇る当時最新設備の小学校のひとつです。震災時に防災と罹災者救護に大きな可能性を示した公園の数を増やし、同時に、近所の子供たちが遊び・学ぶ場所として公園を小学校に隣接させる新しいアイディアを実現させたものです。
 都心の再開発がすすむ中で、この特別な空間を体験できる場所は、今やこの元町公園と旧元町小学校のただ一箇所だけとなってしまいました。本郷台地から神田川へと下る崖線の地形を巧みに活かし見事にデザインされた緑の空間は、カスケード(水階段)やテラス状の広場、パーゴラ、滑り台など大正・昭和初期モダニズムの造形美にあふれています。
 元町公園は今年の1月25日で開園77年、喜寿を迎えました。昨秋には都市公園法50周年記念事業「日本の歴史公園百選」にも選ばれました。上野公園、日比谷公園、新宿御苑に続く由緒ある公園です。歳月を重ね、人々の日常に寄り添いながら東京の暮らしを支えてきたこの公園には、ここにしかない風格があります。
 しかし、文京区は元町公園と小学校の歴史的・文化的価値を軽んじ、緑地と工作物の一部分だけを残してこの場所に高層ビル建設を計画しています。旧元町小学校校舎はまだまだ使える堅牢なたてものですが、一億円の解体予算が計上されています。わたしたちは、機能や経済効率で割り切ろうとする“心と品位のない”まちづくりの再考を呼びかけ、公園と小学校の保全・再生を協議する場をつくろうと活動しています。

■この模型にご興味を寄せてくださる皆様にお願い申し上げます。
 わたしたちは、模型づくりとその公開をひとつの新しい出発点だと考えています。
 模型を囲んで新しいコミュニケーションが生まれたり、失われていた記憶がよみがえり、場所への思いをよりいっそう共有できるようになるといいな、と思っています。
 どうぞ模型を見に来てください、そして元町公園にもぜひ、足をお運びください。
 御茶ノ水駅から水道橋方面に徒歩10分です。水道橋駅からですと、徒歩5分強。
 広重や逸見亨が描いた江戸名所・東京百景のひとつ、神田川沿いのこの貴重なオープンスペースを残す意義を実体験してください。

■湯島聖堂と財団法人斯文会について少々・・・
 湯島聖堂は大正11年(1922)国の史跡に指定されましたが、翌12年(1923)関東大震災が起こり、わずかに入徳門と水屋を残し、すべてを焼失いたしました。この復興は斯文会が中心となり、昭和10年(1935)工学博士東京帝国大学伊東忠太教授の設計と?大林組の施工により、寛政時代の旧制を模し、鉄筋コンクリート造りで再建を果たしました。この建物が現在の湯島聖堂で、昭和61年度(1986)から文化庁による保存修理工事が、奇しくも再び?大林組の施工で行われ、平成5年(1993)三月竣工いたしました(財団法人斯文会HPから引用 )。
 湯島聖堂は、ただいま一大再生プロジェクトの真っ最中。建造物の修復だけでなく茂り過ぎた樹木を整理したり、がんばっています。少し前よりもずいぶんと明るくなった聖堂に、お散歩にいらしてください。いろいろな文化講座も開設していますよ。湯島聖堂 財団法人斯文会は、わが国でもっとも古い歴史をもつ財団法人です。
斯文会のHPはこちらからどうぞ → http://www.seido.or.jp/