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2006年07月20日

わたしの意見

文京区長 煙山 力 様


都市計画公園の変更案に関する意見書


 元町公園に関する都市計画公園の変更案について、以下の通り意見申し上げます。意見の対象には、縦覧の内容に加え、本年4月上旬の区による説明会における説明および質問に対する回答内容も含まれています。

1. 元町公園および旧元町小学校敷地へ都市計画公園と総合体育館を一体的に整備する計画についての区の説明として、新しい総合体育館の規模や導入機能については未定とする一方で、今回のように公園のみ単独で都市計画変更の手続きが行なわれることは、一体的整備をうたう以上、計画のプロセスとして順序が逆です。全体計画から個別計画へと進むのが都市計画の基本ですから、全体計画の提示と議論なしに公園の変更のみが提示され、わずかな説明会で意見を集め、縦覧手続きに入った区の手法は根本的に誤っています。したがって公園の計画変更は一旦白紙撤回し、全体の計画の中で公園の今後のあり方についても考え方を示すべきです。なお、説明会において「なにができるかわからない」と区自らが明言するような「無計画」のなかで公園の変更だけ先行しようとするのは、あきらかな区の情報隠しとも受け止められ、この意味でも本件を審議会での案件とすること自体が直ちに中止されるべきです。


2. 39年前に造られた建物の老朽化のために、その倍近く古い76年前に造られた、十分に現役の公園や建築物を破壊することは、都市の歴史への配慮が著しく欠けており、社会資本をストックとして活用するような持続可能な開発のあり方が強く求められる近年の社会動向からも甚だ時代遅れです。このような区の基本姿勢は、文の京(ふみのみやこ)なる基本構想から大きく乖離するもので、区の見識が厳しく問われます。75余年をへて、文化財的価値も指摘される元町公園は、現在地において適切に維持すべきであり、文化財の価値が指摘される元町公園の存廃の方向性は、区や都、国の文化財保護に関係する審議会等の意見を聞くべきです。まちの文化財はいまや文化的資産としてまちづくりに生かすのが常識であり、文京区はスクラップ・アンド・ビルドの旧態然とした考え方を改めるべきです。


3. 築39年という湯島の総合体育館は、公共建築として特段に古いものとは考えられないので、改修などの可能性も含め、区は建替えの必要性についての客観的な根拠を示すべきです。その上で立替がもっとも合理的であり、かつ湯島の体育館が現在地で建替え不可能ならば、体育館機能を他の場所への移転した後、湯島の敷地が将来的にはどのように活用されるのかが提示されるべきです。そして同時に総合体育館の建設候補地について、候補地の比較から決定に至る検討プロセスを公表すべきです。それがなければ、なぜ元町小学校、公園の敷地が建設予定地として適しているのか、住民は是非を客観的に判断することができないからです。なお新聞(建設通信新聞2006年6月21日)などで先に湯島への東洋文庫移転の件が報道されるのは区の情報隠しを証明しています。


4. 4月上旬の説明会では、「総合的」に検討した結果、公園の移設という結論に至ったという趣旨の説明がありましたが、この検討過程でどのような条件を設定し、どのような案を検討対象とし、これをどのような観点から評価して総合的に検討したのかについて、詳細を公表すべきです。それがなければ、住民は誰も検討案の是非を客観的に判断できないからです。


5. 4月の素案に示された現公園に対する区の問題点の指摘(高低差によるバリアフリー問題、樹木の繁茂や死角による安全安心問題)は、技術上、管理上の工夫で改善可能な問題であるので、現公園を移転すべき理由として説得力をもちません。これは自宅の玄関に段差があったり、自宅の庭の樹木が茂りすぎたからといって、引越しをする人はいないことを考えれば自明のことです。このように公園を移転すべき理由が詭弁であるということは、公園を移転すべき別な理由があることを示すもので、これもまた区の説明不足を示すものです。


6. 現元町公園に対する住民からの苦情があるということですが、一般に住民は苦情以外は行政に意見をしません。ですから公園の存廃に関わるような計画を行なうにあたっては、単に寄せられた苦情を住民の声とするのではなく、「文の京」自治基本条例にいう区民に対し、現公園の良い点、悪い点について広く調査を行ない、結果を公表すべきです。


7. 縦覧の理由書に説明されている、防災公園としての位置づけとしては、公園敷地が広幅員で街路樹のある道路に面している現在の公園位置のほうがより安全であり、外堀通りから切り離す計画案はこの点で改悪案です。


8. 縦覧の理由書に説明されている、神田川に沿った風致地区や緑のネットワーク上の位置づけとしては、神田川に近い現在の公園位置のほうがよりネットワークに寄与しており、外堀通りから切り離す計画案はこの点で改悪案です。縦覧に示された案はこれら(前記7と8)を公園移転の理由の骨子としているので、これらのことから合理性を一切欠いた不適切な案であると結論できます。


                                               以上